通信制高校に入るってどんな感じか知っていますか?文科省の「教育指標の国際比較平成21年度」によると、日本の高校進学率は98.1%で、そのうち全日制高校への進学率は94.1%だそうです。定時制と通信制を合わせても全体の3.7%ですから、圧倒的に全日制に進学する人が多いですよね。
ほとんどの人の通う全日制高校の場合、あまり進学に不安はないかも知れません。入学の仕方も先生方に任せておけば何も知らなくて大丈夫だったと思います。
中学校を卒業してそのまま通信制高校に入学する場合は、全日制高校に通う人と同じです。先生方に任せておけば普通に入学でき、高校生活が始まります。全日制高校と何ら変わりません。
では、途中から通信制高校に通う時はどうしたらいいのでしょうか?誰に希望を出せばいいのか、在学中の人はいったん高校を辞めないといけないのか、実際どうするのかよく分からない人も多いかも知れません。
そこで今回は、途中から通信制高校に入学する手段である「転入」と「編入」について詳しく説明していきます。
通信制高校生は「転入」「編入」が多い
通信制高校の特徴の一つが、「転入」「編入」が多いことです。文科省による「高等学校通信教育の質の確保・向上対策について」に関する審議をまとめたデータによると、平成28年度に通信制高校に入学した生徒は約6万9千人。そのうち51.7%にあたる約3万6千人が転編入学者とのことです。
ですので「途中から入って浮かないかな」なんて心配する必要はありません。そもそも全日制より顔を合わせる機会が少ないですし、入れ替わりも比較的ありますので浮くことはまずありません。入ろうかなと思ったときがタイミングです!通信制高校でぜひ高校卒業を目指しましょう。
転入でも編入でも心配ないと分かったところで、では「転入」と「編入」の違いについて具体的に確認していきましょう。
「転入」とは・・・
小中学生の時、「転校生」って来ませんでしたか?他の学校から来た生徒、いましたよね。4月からだったり、夏休み明けに来たりなんてあったんじゃないでしょうか。あれが「転入」です。高校においても全く同じです。他の高校から違う高校に入る、それが「転入」となります。イメージとしては、A高校→B高校といった感じです。
「編入」とは・・・
編入とは、一度以上高校に入学したものの退学し、また高校へ進学することを指します。ですので編入は転入と違い、A高校→中途退学→B高校といった状況になります。一時期、高校生でない期間があった人はこちらに該当します。
「転入」と「編入」では何が違う?
1.まずは”単位”を理解しよう
単位には「学年制」と「単位制」がある
以前あなたが全日制高校に通っていたとしましょう。そうすると、おそらく「学年制」の単位取得システムだったと思われます。学年制とは、高校が設定した1年毎の単位を全てクリアしたら、次の学年に進級できるシステムです。ですので、例えばほとんど全ての単位を取得していても、一つでも落としてしまう単位があれば留年となります。
週に1度しかない授業があったとします。学校において1年は35週と考えられています。そして単位を取得するには最低でも80%以上の出席が必要です。ですので、週に1回しかない授業は、8回休んでしまうと単位が取れません。そうすると進級できません。
例えば、月曜日はどうしても休みがちなSさんがいました。月曜日には週に1回しかない授業があるのですが、1年の終わりの3月になって、Sさんはついに月曜日を8回休んでしまいました。
そうすると「学年制」の場合、Sさんは留年です。2年生になれません。他の曜日は休んだことがなく、試験の成績が優秀でも留年です。一つでも落としたらダメというのは結構こわいですよね。
ほとんどの全日制高校においては「学年制」が採用されています。学校としても、全ての生徒に同じカリキュラムを採用する学年制は管理しやすいメリットがありますし、生徒側としても自分で授業を組まなくていいのはとても楽です。
しかし一つの授業の単位で全てが無になる可能性も含んでいます。これは全日制高校に通う人はとても気をつけたいところですね。
「転入」と「編入」で引き継げる単位はちがう?
さて、単位について理解したところで話を「転入」と「編入」に戻しましょう。他の高校から通信制高校に「転入」した場合、取得した単位は全て引き継げます。しかしこれは転入に限った話でなく「編入」でも同様です。ですので、単位の面においては「転入」と「編入」に違いはありません。
ひとつ念頭に置いて欲しいのが、「取得途中の単位は引き継げない」ということです。例えば2月の終わりまで学校に通って、転入もしくは編入したとします。そうすると、その年度の4月~2月までの頑張りは単位的に見ると無になります。取得した単位数は0という扱いなのです。
ですので、年度末近くまで頑張れた人は高校卒業までのスムースさを考えると「一つ上の学年に上がってから辞める」という方が効率は良いということになります。もし粘れそうなら単位を取ってから転編入しましょう。
2.在籍期間はどう変わる?
高校を卒業するには、必要な単位(74単位)を取ればそれで終わりというわけではありません。最低でも3年は在籍する必要があるのです。
では転入と編入で在籍期間の認定は違うのでしょうか?結論は、「どちらも同じ」です。ですので転入であろうと、いったん退学してから通信制高校に編入しようと、在籍期間については特に悩まなくてよいでしょう。
3.履歴書に書く内容はどう変わる?
転入でも編入でも、履歴書に書く方が一般的です。そして書き方もあまり変わりません。履歴書的にも「どちらもほぼ同じ」といったところです。転入と編入のちがいを気にする必要はないでしょう。
4.手続きはどう違う?
■転入の場合
進学する高校によって多少の差はありますが、基本的に自分で行うことは以下の3つです。
【1 転入する高校を決め、願書を請求する】
通信制高校といっても、「公立」「学校法人立」「株式会社立」など運営もいろいろありますし、実際に通学する頻度も毎日~年1回など様々。年々私立校が増加していることもあって、ユニークなカリキュラムを取り入れている学校もたくさんあります。
せっかく別の高校に通うのですから、今度こそ納得の行く、通いやすそうな高校をしっかり厳選しましょう。通学スタイルだけでなく学費も差が大きくあるところですので、忘れずチェックしましょう。
転入先を決めたら必要な書類を揃えていきます。
【2 在籍中の高校に転校の意思を伝え、書類を用意してもらう】
まずは担任の先生に転校の意思を伝えましょう。新しく入る高校に提出する書類はたくさんあります。その中で高校で用意してもらうものもありますので、それらを受け取りましょう。具体的には「在籍証明書」や「成績証明書」、「転学照会書」などです。
それらは自分で新しい高校に提出することがほとんどですので、大切に保管しましょう。高校側の書類の作成には1週間ほどかかることが多いですので、ぎりぎりになってしまわないよう注意しましょう。
【3 新しい高校の試験を受ける】
たいていの通信制高校は、学力を重視しません。試験があってもそれほど合否に関わることは少ないでしょう。大学進学コースなどでしたらある程度の学力を要求される可能性もあります。
面接を課す高校は多いですので、面接の対策はしましょう。入学したいと思った理由や目標など、定番の質問には答えられるよう準備して挑みましょう。
■編入の場合
編入も手続きとしては転入とほぼ同じです。ただ、すでに退学しているため担任の先生などがいません。書類の請求や受け取りは学校の事務に依頼することになるでしょう。
在学中である転入と違い、編入は全てを自分でやらないといけない分、少し大変に感じるかも知れません。しかし通信制高校の資料は手続きが分かりやすく載っていることがほとんどですので、資料を見ながら揃えていきましょう。
分かりにくければ元いた高校、新しく通う高校どちらにでも気軽に質問しましょう。電話をしたり訪ねたりするのは億劫に感じるかも知れませんが、確実に書類を揃えることを優先しましょう。
5.募集期間はどう違う?
転入と編入ですと、基本的に転入の方がしやすいです。というのも転入は可能期間が編入に比べて長い傾向にあるのです。ですので「最短で高校を卒業したい」と思ったら、転入の方が早い可能性が高いです。
転入と編入で、選抜の難易度としては差を設けない通信制高校が多いです。ですので「転入と編入、どちらが受かりやすいか」を気にする必要はありません。
それぞれの高校によって募集期間は大きく異なります。行きたい高校を見つけたら、募集期間をしっかり確認しましょう。
転入と編入、どちらがいいのか
手続き上の楽さで言うと転入が楽かも知れません。しかしそれ以外はほとんど変わりません。「編入だと履歴書に『中途退学』って書かないといけないからネガティブに見られる」という声も聞きますが、実際に通信制高校を卒業し就職活動を経験した身からすると、どちらも大して変わらないと思います。
なぜなら転入でも編入でも就職活動の面接で質問されることはほぼ同じだからです。転入にせよ編入にせよ「なぜ辞めたのか」「なぜ通信制高校にしたのか」はほぼ必ずきかれるでしょう。ですので将来の就職で転入か編入かを決める必要はないでしょう。
在学しながら手続きができる余裕があれば「転入」にしたらいいし、どうしても辛い・辞めたいなら辞めて「編入」でも問題ありません。ポイントは「学年末まで在籍できるかどうか」だけです。繰り返しになりますが、学年末近く(1月~3月)まで頑張れたなら、できれば3月末までは在籍した方がその後が楽です。
今通っている高校、かつて通っていた高校が合わなくても、通信制高校で高校卒業は可能です。入った高校が合わないなと思ったら通信制高校という選択肢も考えてみませんか?
通信制高校を選ぶ際には慎重に
・通信制高校に行くか?行かないか?
・通信制高校に行くならどの学校が良いか?
などを決める際にまずはインターネットで各学校の情報収集をされると思います。
ただ、ネット上の情報は限られています。そして、「学校のことを知りたいなら学校に聞く」のが一番詳しく情報を知ることができます。
とは言っても学校の担当者の方と直接コミュニケーションを取るのは中々ハードルが高いと思います。
そこでまずおすすめしたいのが「学校が公式に発行している資料を請求すること」です。
資料を読み込むことになるのでその場で質問などはできませんが、「学校が公式に発行している資料」なので「学校との直接コミュニケーション」と同じ濃さの情報を得ることができます。
その際にズバットを経由して資料請求をすると、簡単かつ無料で学校の資料請求ができます。
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